友人が遠路はるばる、我が家へ遊びに来てくれるという。 何か温かくて美味しいものを一緒に食べたいと思った。
そういえば、冷凍庫に放りっぱなしになっている皮つき豚バラ肉と豚バラ軟骨がある。沖縄風そばでも作るか。 昨年の製麺会、そして先日の製麺フェスで食べさせてもらった沖縄風そばがとても美味しくて印象に残っており、 自分でも作ってみようと皮つきの三枚肉と豚バラ軟骨を買っておいたのだった。
◆本物の沖縄そばについて学べる記事 portal.nifty.com
◆先日の製麺フェス www.sepio.tk
友人が来るのは土曜、思いついたのは金曜。 とりあえず肉類を冷蔵庫へ移し、後のことは翌朝の自分へ任せて、夜はもともと予定していた飲み会に行くため街へ繰り出した。
二日酔いの沖縄風そばづくり
そして翌日、予定の時間に私は目覚めなかった。二日酔いで頭が割れそうだ。 まったく、「翌朝の自分」になんて物事を任せてはいけない。
友人がやってくるまで2時間半しかない。 風呂にも入らず寝てしまったし、部屋は極限までぐちゃぐちゃ、料理は手つかず。いつもなら手伝ってくれるさのくに氏もこの日は留守。 このミッションをやり遂げられるのか。
スープをとる
とにかく始めなくてはならない。
本当は先ほど紹介した記事などをしっかり読みながら、本物に近いものを再現しようと思っていたのだが、 歩く度にガンガン鳴るこの頭の具合では難しそう。
そもそも時間もない。友人には悪いが、勢いで作ってしまおう。
解凍した豚バラ軟骨を圧力鍋に入れる。500gくらいか。適当に水を入れ、沸いたらアクを取り除く。 もっとも弱い火加減にして、とりあえず風呂に入らねば。こんなサリーちゃんのパパみたいなひょうきんな寝ぐせでは人前に出られない。
風呂の中で歯も磨き、サッパリしたところで軟骨を加圧。コリコリの軟骨も好きだけど、長時間加熱してねっとりしたのが今日は食べたいんだ。 力を貸してくれ、圧力鍋。
加圧している間に髪を乾かし、トイレ掃除と散らかったモノの片づけを。 印字が薄くなってしまっているレシート、裏返ったタイツ、積み重なるAmazonのダンボールが私を苦しめる。 毎日Amazonから何か届くんだ、うちは。多い時は一日に二度来る。たぶん宅配業者から「アマゾン野郎」ってあだ名付けられてる。
なんだかまだ軟骨は柔らかくならないが、そろそろ三枚肉にも火を通さないとまずい。 1kgの三枚肉の塊は鍋に入るよう半分に切って、軟骨と一緒に煮立たないよう弱火でコトコト・・・と思ったけど時間ないのでまた圧力鍋に頼る。 その隙に洗濯機を回す。 朝、耳元で「洗濯しといてくれぇ」とさのくに氏に囁かれたような気がするのよ。
大量の水を飲みながらルンバのスイッチを入れ、机の上を拭く。 ソファで少し横になっていると、鳴り響くインターフォン。Amazonが来た。げ、まだバスローブだった。その辺のワンピースを頭からかぶって応対。
すっかりトロトロの軟骨とやわやわの三枚肉を別鍋に移し、スープに浮いた脂を除く。 肉を出したらスープがとても少ない。味見するとかなり濃厚な感じだし、薄めても良かろうと水を追加。 もう一度スープを沸かして鰹節をたっぷり入れて沸かし、濾したらスープの完成だ。
慌てていたため写真はない。
三枚肉とバラ軟骨の仕上げ
別鍋に移した三枚肉とバラ軟骨に醤油、酒、みりん、砂糖を適当な量ドバドバ入れて煮立たせたら、超弱火でコトコト。
そんなことしている間に洗濯物ができたみたい。洗濯物を干して、そういえば胃薬があったなと思い出して飲む。ルンバの後をつけてウェットタイプのクイックルワイパーをかける。
沖縄そば風の麺
あとは具でも切っておけば大丈夫、ぎりぎり間に合ったなと思っていたら、そんなことなかった。 麺だ。麺打ってないわ。友人が駅に着くまであと20分。
沖縄そばの定義は色々細かく決まっているようだが、今はうろ覚えの知識でやるしかない。 塩をいつもの2倍に、かんすいを半分に、加水率は35%くらいにしたような気がする。
そんでね、これが全然まとまらない。踏んでも握ってもまとまらない。 無理やり製麺機に通したら通したそばからバラバラに・・・なぜこんなことに。水の量間違えたかしら。
お願いだからまとまって! 全然いうことを聞かないクラスの担任になった気分である。こっちの塊を押さえればあっちがぽろぽろ、あっちを押さえればこっちがぽろぽろ。 君たち、いい加減にまとまりなさーい。
根気よく何度も製麺機を回して、ようやくなめらかな麺帯になってきた。 はい、あなた達がが静かになるまで(まとまるまで)に15分かかりました(怒)。
床に落ちた生地のかけらを掃除していると、友人が駅に着く時間。 なんとか、間に合った。
友人と食べよう
友人を駅まで迎えに行って部屋の扉を開けると、カツオと甘辛い醤油の香りがした。 外から戻って初めて気づく家の香りってあるよね。いい匂いでよかった。
お互いの近況を交換しながら麺を茹で、具を準備。スープはちょっとイイ塩だけで味付けした。 少し遅いお昼になってしまったけど、いただきましょう。
トッピングは三枚肉とバラ軟骨のほか、白いかまぼこと紅ショウガに青ネギ。 スープをすすると思わずため息が出てしまう。豚のゆで汁とカツオ出汁だけなのに、美味しいものだな。 二日酔いだからということもあるのか、五臓六腑に染み渡る優しい味わいだ。 心配していた麺も、いい感じの固さで美味しい。
友人は軟骨の柔らかさに驚いた様子。 こんなにトロトロなのを食べたのは初めて、と喜んで肉と軟骨のおかわりまでしてくれて、とても嬉しい。よかったな。 お腹もすっかりいっぱいになって二日酔いも解消、楽しい時間になった。
さのくに氏と食べよう
結構スープが取れると思ったのだが、贅沢に使い過ぎたのかもうあと1.5食分くらいしかスープが残っていない。 折角美味しくできたから、さのくに氏にも食べさせてあげよう。
食いしん坊のさのくに氏にははじめから肉増し、更に三枚肉とバラ軟骨の甘辛煮を細かく刻んで混ぜご飯にして添えた。
いつも麺類には評価が厳しいさのくに氏だが、これは気に入ってくれた模様。 このセットで1,000円だったら、3.5点/5点満点だってさ! 大雑把に作っても美味しくできる、この懐の広さが沖縄っぽい。本物食べたことないけど。 また作って欲しいと言われたので、沖縄で本物食べて勉強しないとね。 少なくとも次は二日酔いでない日に作りたい。