郷愁のコロンビア飯_アヒアコの作り方

ふるさとは何処

まいけるには故郷(ふるさと)がない。

・・・というと語弊があるのだけれど、 「郷里はどちらですか」と訊かれるといつも少し困ってしまう。

そもそも、故郷(ふるさと)とは何ぞや。 調べると、こうある。

その人に、古くからゆかりの深い所。生まれ(育っ)た土地や以前に住み、またはなじんでいた場所。

まず、まいけるが生まれたのは南米、コロンビアという国。(両親は日本人) コーヒーとエメラルド、そして麻薬カルテルが名物。 5歳の時に日本へ来た。幼かったので、覚えていることは少ない。 ここが故郷、というのには少し縁が薄すぎるような気がする。

日本へ来てから、ほんの少しの間、都内に住んでいたが、 すぐ埼玉に越し、それからずっと実家は埼玉にある。

では、埼玉が故郷なのでは? 実は、これもしっくりこない。 小中高大、いずれも都内の学校に通っていた。 故に、埼玉には全く友人はおらず、休日に友人と遊びに行く先も勿論、都内。 つまり、埼玉に思い出はほぼない。馴染みがまるでない。

では、都内が故郷なのか? 馴染み深さでは都内がダントツなのだが、 殆ど住んでもいないのに「ここが故郷です」と名乗るのはなんだかおこがましい気もする。

そう考えると、自分の故郷がわからなくなってしまうのだ。

別のアプローチをしてみよう。 「郷愁」という言葉がある。ノスタルジア。懐かしさ。帰りたくなる気持ち。 これを感じる場所こそが、まいけるの故郷なのではないか。

独身の頃、辛いときや優しい気持ちになりたいときに思いを馳せるのは、不思議とコロンビアであった。 (今では、夫の待つ家。)

私をお風呂に入れてくれた、お手伝いさんの大きな手と謎の歌、近所の映画館が爆発した音で目覚めた朝、過剰なスキンシップの幼稚園の先生、大きな人形をみんなでタコ殴りにした誕生日・・・ (中南米では、ピニャータという人形の中にお菓子などを詰め、みんなで割って、誕生日、年末などをお祝いする習慣がある)

思い出すと穏やかな気持ちになるとともに、二度とは戻れないのだという淋しさを感じる。 これこそ、郷愁なのではないか。

うむ。まいけるの故郷は、コロンビアで決定ということにしよう。 そうとなったら、なんだか急に思い出の食べ物が食べたくなった。

作ります。(やっと)

アヒアコ(ajiaco)の作り方

アヒアコ(Ajiaco)とは、コロンビアの代表的な料理。 クリームの入ってないクリームシチューのような感じ。 そんなに頻繁に食べた記憶はないのだが、子供の舌にも優しく食べやすいスープなので、とても好きだった。

材料(3~4人前)

  • 水・・・900ml
  • 骨付き鶏もも・・・1本
  • ネギ・・・1/2本
  • 男爵イモ・・・250g
  • メークイン・・・150g
  • パパ・クリオージャ(アンデスポテト)・・・250g
  • トウモロコシ・・・・1本
  • マギーブイヨン(固形)・・・1個
  • パクチー・・・適量(パウダーでも生でもOK)
  • 塩・・・適量
  • アボカド・・・1個

とにかくジャガイモが主役のスープである。 中でも「パパ・クリオージャ(papa criolla)」と呼ばれるイモは欠かせない。 まいけるの母曰く、「これがないとajiacoではない」。 確かに、パパ・クリオージャって独特の甘みがあるのだ。大好物だったのでよく覚えている。 小さくて、中身は濃い黄色、皮ごと揚げたものをよく食べていた。 コロンビアでもまぁまぁ高いイモらしい。

本当はグアスカス(guascas)というコロンビア産の謎ハーブも入れるらしいが、日本ではほぼ手に入らない。 (粉末なら手に入る、という情報もあるがいまいち何処に売っているのか不明) 母曰く、「特になくてもOK」とのこと。

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アヒアコの材料。長ネギを写し忘れた。

主役のジャガイモは、3種類使う。クリオージャ、サバネラ、パストゥーサ。 煮崩れする種類と煮崩れしない種類を混ぜて使うのがポイント。 日本では手に入りづらいので、代用する。

まずはお馴染み、男爵イモ。煮崩れ要員だ。

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ホクホクと美味しい男爵イモ。

次に、煮崩れしづらい、メークイン。

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つるっとした表面で皮が向きやすいので好き。

そしてアヒアコの主役、パパ・クリオージャ。 流石にスーパーには売っていなかったので、楽天で冷凍ものを入手した。 インカのめざめ、とかでも似た感じになるかもしれない。

余談)パパとはスペイン語(南米ver.)でジャガイモという意味だが、アクセントによって意味が変わる。 パパ(papa)と、前にアクセントが来るのがジャガイモ。(もしくはローマ法王。) パパ(papá)と、後ろにアクセントが来るのはお父さん。

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丸くて可愛いパパ・クリオージャ。



では、始めていこう。
まずは適当な大きさに切った長ネギと、骨付き鶏もも肉を煮ていく。 中弱火で20分くらい。肉が硬くならず、でも出汁は出るくらい。 胸肉を使うレシピも多いようだが、 「骨付き肉以外はNO」と母から念を押されてしまったので、骨付きもも肉を使用。 母から直接言葉で教わった人生の教訓は、2つくらいしかないのだが、そのうちの一つが、 「肉はできる限り骨付きで調理しろ」というものである。 ちなみに、もう一つは、「貴重品は肌身離すな。100%盗られる。」。

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長ネギと骨付きの鶏もも肉を煮る。

煮えたら、鶏肉はボウルなどに取り出しておく。

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このまま食べても十分美味しそう。

鶏肉を先ほどまで煮ていた鍋に、トウモロコシを投入。 15分ほど煮る。

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トウモロコシは味の決め手。

煮ている間に、先ほど取り出しておいた鶏肉を細かく裂いていく。 特にアヒアコの正式レシピというわけではないが、 骨からまだ出汁が出そうだったので、骨と軟骨は鍋に戻した。

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火傷に注意。冷ましてからね。

トウモロコシが煮えたら、これまた取り出しておく。

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これだけ見ても、何を作っているのかサッパリわからない。

イモの登場。まずは男爵とメークインを入れる。ついでにマギーブイヨンも入れる。 皮は剝いて、小さめに切っておく。20分ほど煮ると、男爵だけ煮崩れてくる。

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男爵とメークインだけ先に入れる。

そこで、パパ・クリオージャを冷凍のまま鍋に入れる。

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パパ・クリオージャを丸ごとドボーン。

10分もすると、こんな具合に煮えてくる。 皮の口当たりが悪そうだったので、煮えたパパ・クリオージャから順に 小さいトングでつまんで皮を取り除いた。結構面倒。本当はどうやるんだろう。

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冷凍ものだからなのか、皮が少し気になる。

好みの状態までイモを煮たら、鶏肉とトウモロコシを鍋に戻して温める。 刻んだパクチー(スペイン語ではシラントロ)も加える。生より乾燥のもののほうが口当たりは良い。 ここで塩加減も調整。

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パクチーを入れるなら、パウダーの方が価格も安く馴染みもよいかも。

トウモロコシは食べやすいように竹串を刺しておいた。 付け合わせのアボカドはただ切るだけ。 皿に盛ったら、完成だ!!

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なかなかワイルドな完成図。

この味!! 一口食べるたびに、懐かしさが溢れてくる。
控えめに言って、非常に美味しい。 (思い出補正の可能性がかなりある。さのくに氏の感想は「フツー」、であった。) f:id:maicos555:20171004145716j:plain

付け合わせのアボカドを入れて一緒に食べたり、生クリームをかけたりもする。 ぼんやりした味なので、アヒを合わせてもいいな。
アヒについてはこちらのエントリーを。

www.sepio.tk

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スープの味を濃い目にして、アボカドトッピングもよい。

まいけるは大満足だったが、さのくに氏の反応もそんなに良くなかったし、作るのも面倒なので、しばらくはお蔵入りかな。 次はエンパナーダでも作るか。