行けなかった野食感謝祭への執念
昨年の4月に開催された、ざざむしさん主催の野食感謝祭in富山。ざざむしさんと会えるチャンス、その界隈の人であれば参加したすぎて足が勝手に走り出すくらいのイベントだったわけだが、私はどうしても日をずらせない用事があり、応募するまでもなく参加が見送られた。
当時は参加する友人・知人が羨ましくて、もう羨ましいを通り越して恨めしいになりかけていたのでなるたけ感謝祭の情報を目に入れないようにしていたのだが、どうしても誘惑に抗えず当日にTwitterを開いてしまった。
目の毒なんてもんじゃない。蓋を開けてみれば、Twitterでいつも見ているあの人もこの人も参加、山菜をとったりウグイを釣ったり、旬の野食材を贅沢に組み合わせた料理が次から次へとタイムラインを流れてゆき、そして一部の人だけとはいえ、何より私がいつか見たいと胸を焦がしていたホタルイカの身投げまで見に行っているじゃないですか。超・超・超・楽しそう。
どうして自分がその場にいないのか、あんなに悔しかったことはない。あまりの悔しさに、エアロバイクを全力で漕ぎながら号泣。小学校の頃に楽しみにしていたパズルを母親に先に解かれてしまった時以来の悔し泣きだ。嗚咽を漏らしながら、来年のホタルイカシーズンには誰が何と言おうと何を犠牲にしても必ずや富山に行ってやると誓ったのであった。
この恨み節を延々と365日野草生活さんに聞かせていたところ(迷惑)、「今度は一緒にホタルイカ見ようね」と富山のその道の方々と会えるように連絡してくれた。これが今回の旅のはじまりとなったわけである。ありがたや。
8時間のドライブを経て天おじ氏のおもてなしを受ける
さて、そうしてお世話になることになったのが、知る人ぞ知る(?)富山のおじさま、通称「天おじ」氏である。365日野草生活さんに「天おじ大好き!」と言わしめるその人、会ってみたくなるじゃないですか。どんな方なのかしらと期待と不安が入り混じる。
365日野草生活さん、玉置標本さんも乗せて富山へ向かう車中では互いにクイズを出し合うというレクリエーションが流行ったのだが、これから見に行くホタルイカについてのクイズに加えて、なぜか天おじ氏についてのクイズが出されていたほど。どんだけ愛されているんだよ、天おじ氏。
8時間のロングドライブを経て、天おじ氏宅に到着。遠いね、富山・・・。運転手を務めたさのくに氏、お疲れ様でした。 もうおなかペコペコ!って言ってたら、なんと天おじ氏自ら腕を振るって夕食を準備してくださっていた。ありがたやありがたや。やいのやいのと2階へ上がると、てきぱきと夕餉の支度をする天おじ氏と、部屋の隅には携帯とにらめっこしている、どこかで見たことがある人が。おっと、この方はもしや・・・・ざざむしさんだ!
というわけで、天おじ氏、ざざむしさん、玉置標本さん、365日野草生活さん、さのくに氏と食卓を囲むことに。私にとってはこれだけでもう十分に野食感謝祭リベンジが果たされたような気分。すごい。嬉しすぎてなんかもう現実感がない。
そしてその豪華なメンツに負けない素晴らしい夕食。地物の刺身に天ぷらに、天おじ氏のご実家から取り寄せたというお米がまた美味しくって、ご飯を3杯もおかわりしてしまった。
さすが天ぷらを揚げるのが上手なおじさん、略して「天おじ」の名は伊達じゃない。こんなにお料理上手な方だったのね。富山に着いて、いきなり嬉しいおもてなしの先制パンチを受けた気分だ。美味しいごはんって心の距離を縮めるもので、憧れのあの人、仲良しのこの人、みんなで食卓を囲んで、もうこの旅はどう転んでも楽しいだろうという予感。
ホタルイカ探しに暗雲が立ち込める
さて、楽しい宴で気持ちも打ち解けたところで、本命のホタルイカ探しへ出かけよう。 ご存知の通り、富山では毎年3~5月にホタルイカの群れが接岸する世界でも類を見ない現象がみられる。今回の旅はこのホタルイカの身投げを見て、自分ですくって、食べるというのが一番の目的なワケである。
イカ釣りチャレンジのターゲットの中でも、会いたい度はかなり高いホタルイカ。なんて言ったて光るんだから。まぁ実は世界に450種ほどいるイカの仲間のうち40%はなんらかの形で光るんだけど、自分で捕まえられる範囲にやってきてくれてホタルイカほど強く発光するイカって日本では他にいないんじゃないだろうか。
しかし膨らむ期待とは裏腹に、天おじ氏、ざざむしさんによると「気温も低いし、今晩は難しいだろう」という。といって、陸に引っ込んでいてもホタルイカが来てくれるわけじゃないし、限られた日程での少ないチャンスだからと見込みがありそうな浜へ案内してもらった。
アタリの日は砂浜にホタルイカが打ち上げられていたり、波打ち際をスイスイと泳いでいたりするらしいけれど、まーこれが全然いない。富山のお二人の話によると、今日に限らずシーズン入りからずっとホタルイカの状況は良くないようだ。定置網の漁獲量が十数「匹」という日もあったという。普通ならt(トン)単位で獲れなきゃいけないところ、匹ですよ、意味が分からない。
浜ですれ違う人々も誰もホタルイカが捕れている様子がない。1匹くらい会えるかもな・・・なんて淡い期待は見事に打ち砕かれたよね。有給休暇まで使って富山まで来てこのままホタルイカに会えなかったらどうしよう。チャンスは2晩しかないのだ。昨年3回富山を訪れて成果が2匹だったという玉置さんの顔がよぎる・・・(隣にいたけど)。
粘りたい気持ちもあったが翌朝に釣りを控えていたこともあり、この日はさっさと撤収。気温が上がり条件が良くなりそうな翌日に賭けることにした。いいんですよ。ホタルイカとのファーストコンタクト、これくらい焦らされた方が後のお楽しみが増えるというもの。
しかしホタルイカには会えなかったのに、遠足の前の晩のようなワクワクした動悸で目が冴えてその晩は全然眠れなかった。これまであんまり仲間で旅行へ行ったりした体験がなかったからかもしれない。ホタルイカ大漁の夢を瞼の裏に描きながら、富山の夜は更けていったのであった。
スルメイカを釣りたい
翌日は早朝から眠い目をこすりつつスルメイカ釣り。 天おじ氏が私のブログを読んで、「スルメイカはまだ釣っていないようだから」とセッティングしてくださったらしいと聞いて嬉しさもひとしおである。優しすぎますね。この優しさだけでなくてほんとに面白いキャラクターの持ち主なんだけど、私の文章力では表現できないので皆さん富山まで会いに行ってください。
で、スルメイカってことは沖だよな~船とかどうするんだろな~と漠然と思っていたら、案内されたのは天おじ氏所有の船。船まで持っているとは!恐るべし、天おじ。
今日の見込みはどうでしょうかと聞いてみた。 「天気もいいし、ゼロってことはないと思うよ。でもイルカが来てたらもうダメだからね。イルカが来るとスルメイカはおしまい。」 はい。これ、フリじゃないですよね?
電動のタックルも仕掛けもすべて天おじ氏が準備してくださっていた。釣り方も丁寧に教えてくれて、いわゆる大名釣りと言うやつじゃないですか。改めて天おじ氏のホスピタリティの凄さを実感。お忙しいところほんとにありがとうございます。次からはせめて竿と仕掛けくらいは準備していきます。(次も来る気満々)
で、肝心の釣果だが、これがね~サッパリ。 レモンシャーベットくらいサッパリ。アタリさえないまま刻々と過ぎる時間。なんとかイカの顔を見せてくれようと、天おじ氏が仲間の船に連絡をとったりして釣れそうな場所に移動してくれるのだが、状況変わらず。もしかして、来ちゃってますか?イルカ。
「こんなに釣れないこと滅多にないんだけどな~」「だれかのイカへの殺気が伝わってるのでは?笑」とざざむしさんからチクリ。ハイ、釣り行くと私よく言われるやつです、ソレ。やっぱりイカへの愛が重すぎるのかしら。
しゃくれどしゃくれどイカの重みは感じられず、虚しい空振りを続けていた私の竿に突然、ガガッッと重みが。イカ・・・?いや、こりゃ根がかりだわ。手こずっていると、なんと他の皆さんも続々と根がかり発生。
どうやら大きな根にかかってしまったみたい。結局、格闘してもどうしても取れず、みな仕掛けを根こそぎ持っていかれてイカ釣り続行不可という急展開となってしまった。
プラヅノを大量にロストしてしまったにも関わらず「こういうのは運だからね~仕方ないんよ~」と悲しそうではあるが怒りもせずに切り替えていく天おじ氏。その心、海よりも広い。
底物のお魚と戯れる
ホタルイカだけでなくスルメイカにさえ会えないのかと絶望していたら、天おじ氏が素早く気転をきかせてくれて底物五目にチャレンジさせてもらえることになった!やったぜ。次の手をバッチリ考えてあるとは流石。
最初こそ海のパトロールが続いたものの、次第にポツポツとアタリが出て、各自見せ場があった感じ。私は美味しいと噂のキジハタを初めてGET。地味に嬉しい。
365日野草生活さんは冬の女王、アカアマダイを釣り上げてご満悦。
そしてこの日フィーバーしていたのは玉置標本さん。 大きなウマヅラハギとウッカリカサゴを2点掛けしたほか、キダイを釣ったり、チカメキントキを揚げたりと大活躍。ゆるゆる釣り部の底力を見せつけられた。全然ゆるくない!
一方ざざむしさんはちっちゃいお魚に好かれてました。花粉症が辛そうだった・・。最近、スギ花粉食べたりしてましたよね。
大漁とはいかないまでも、飽きない程度に小物も顔を見せてくれたし、天気にも恵まれて気持ちのよい釣り。アタリが途切れたところで沖上がりとなった。色んな種類の魚を見られて楽しかったな。
後から聞いた話によると、やっぱりイルカが来ていたらしい。最初のフリを回収する形になってしまった。これはこれで面白いからいいか。スルメイカは関東でも会えるしね。
ちなみにさのくに氏は釣りをパスしていたので、一人で市場などを回って観光を楽しんでいたようだ。ちょうど下船が昼頃だったので、ここいらで合流して一緒にお昼で食べましょう。
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