旅先での歩道橋との邂逅はそれだけで嬉しいものだが、それがその土地ならではのモノであったなら、感慨もひとしおだ。
そんな出会いがあったのは家族で伊勢参りをした時のこと。 二見興玉神社と外宮でのお参りを済ませ車で内宮へ移動していると、ドキッとするダークカラーの歩道橋を発見。思わず声をあげた。黒い!
車なのでさーっと通り過ぎてしまったが、なんか金色の飾りも付いていた。 ああいう橋についてる飾り、なんて言うんだっけとブツブツ言っていると「擬宝珠(ぎぼし)だよ」とお義父さんがそっと教えてくれた。さすが。
こんな機会でなければ出会えないレア歩道橋だ、時間をかけて観察したいけれど、家族で団体行動しているところだし自分が予定を乱すわけにもいかんよなぁと悶々としていると、駐車場の列に並んでいる間に車を降りて行って来たら、と近いところで降ろしてもらった。なんという優しさ。
有難くお言葉に甘えることにして、飛ぶように車を降り歩道橋の元へ馳せ参じたわけである。
伊勢神宮を意識したレアカラーの歩道橋
伊勢神宮への参拝客での混在津を緩和するために作られたという、南勢バイパスの終端付近にまたがる今回の歩道橋。地図の赤いところ。
遠めから見てもかなり目立つ、歩道橋としては異色の黒ボディ。 レアカラーの歩道橋にテンション急上昇だ。
階段の下まで来た。 歩道橋恒例の「お名前プレート」と付いていない模様。近くでみると艶があって、黒塗りの高級車のような雰囲気。
「お名前プレート」がないので、橋に書いてある「伊勢市宇治橋浦田町」歩道橋、と呼ぶことにしよう。
歩道橋と言えば薄めの水色、黄緑、ペールオレンジなどのカラーが多い中、この色はやはり異色。ダークカラーは締まって見えて格好いいね。塗装もまだ新しい感じがする。
階段上りきったところ。青空が気持ちいい。
橋部分の床は赤。ダークなボディカラーとの対比で雅を感じる。 そして明るいところで見るとボディーカラーは実は黒ではなかった。チャコールグレーに茶色が混ざったような複雑な色味。伝統色の名前で言うと「憲法染」が近いだろうか。
そしてこの歩道橋の最大の特徴、擬宝珠。 艶消しの金色に塗られていて格好いい。やはり明らかに伊勢神宮を意識しているよね。 擬宝珠について調べたところ、神社では伊勢神宮正殿の高欄の五色の宝珠型の飾りが原型という説があるらしい(Wikipediaしらべ)。
北側からの眺め。
南側からの眺め。
排水溝は目が粗く、小さめのスマホだったら通り抜けそう。
歩道橋の東側には、伊勢神宮の境内を流れる五十鈴川の支流が見える。底まで透けて見える清らかな水。
階段部分の欄干もどことなく和の雰囲気がある。
伊勢神宮の入り口にふさわしい、立派な歩道橋だった。満足だ。印象深い歩道橋。
今回の歩道橋「伊勢市宇治浦田町歩道橋」
- 伊勢警察署 宇治交番より南勢バイパス沿いに北へ徒歩1分
伊勢市宇治浦田町歩道橋付近のスポット
- 伊勢神宮(内宮)
ここまで来たのなら、神宮にお参りしない手はないだろう。 というか、普通の人は伊勢神宮がメインなのか。そうか。伊勢神宮のついでに歩道橋も見てください。
伊勢神宮の宇治橋についている擬宝珠のうち、一つだけ萬度麻(まんどぬさ)というありがたいお札が収められている特別な擬宝珠があるらしい。それを触るとご利益があるとか。私は触りそびれた。