でっかいマダコを釣って食べたい

「まいけるはイカ好き」ということは友人の間では有名な話であるが、実はタコにもちょっかいかけていたりする。

レベルがが高いと言われるイカ釣りへ挑む前に腕を上げておこうと、過去にマダコ釣りに挑戦したことがあるのだ。
しかし陸釣りより確度が高いはずの船釣りで、まさかのボウズ。 昨年は粟島までタコを捕るためだけに8時間かけて行き、数時間×2日のタコ捕りに挑んだのに無残な結果に。

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そんな茶番をやってる間に本命のイカ(スミイカ)は釣れてしまったのだが、こうやってフラれ続けるとタコの方に執着が湧いてきてしまう。

高根の花・憧れのカワイ子ちゃんのイカを射止めようと思い巡らしていたらアッサリ落ちてしまい、いつでも落とせると思っていたクラスメイトのマダコちゃんが意外とつれ(釣れ)なくて、逆に気になって仕方なくなってしまった、みたいな。伝わらないか。

ともあれ、そういう訳でリベンジの機会をじっと待っていた今年の初夏。
そんな私の事情を知ってか知らずか、ペンさんから「マダコ釣り、行きましょうか」と救いの手が差し伸べられた。

どんな荒地にもクロックスで赴き、何でも「手乗り」にしてしまうというあのペンさん!この人が一緒ならば百人力だ。
タコめ!首を洗って待っていろよ!(どこが首だかわからんが)

↓↓理想(これはイイダコだが)↓↓


マダコは豚の脂身で釣る

他にもマダコを釣りたいメンバーで集まり、早朝に現場に到着。
おそらく私より寝ていないであろうみなさんはてきぱきと釣りの準備を進めていく。 ボーっとしている場合ではない。いつか自分一人でも釣れるように、釣り方を見ておかなければ。

ペンさんが取り出したのはテンヤいう仕掛け。おもりと針が一体化しており、その間の細長い部分に餌を付ける。 大きな針が2本、そこへ縛り付けるのはなんと豚の脂身。これがマダコに効くのだそうだ。

白い脂身を糸でくくりつける

仕掛けはこれだけ。実にシンプル。
このテンヤを糸の先に結び付け、底まで落としてタコが見つけてくれるのを待つのである。
私はイカ用のテンヤを2つ持っているが、今回貸していただいたテンヤは餌をくくりつける部分がイカ用の物より幅広でしっかりしているように見えた。おもりもちょっと形が違うみたい。

タコ?!大物?!釣り上げたのは・・・

準備が出来たら仕掛けを海に投入。
少し投げたらテンヤを底まで降ろして、チョンチョン、チョンチョン、とわずかにしゃくってタコを誘いながら岸へ引き寄せていく。 海中で揺れる仕掛けの様子を想像しつつ、まだ見ぬタコに魅力的に映るよう、テンポを変えてみたり動きを小さくしたり大きくしたり。

もう来るかな?いま来てるところかな?
隣にいるのんさんと釣り方を確かめ合いながら、底を攻めてゆく。 「ここはいつも(タコが)いるからね~」とのペンさんのお話だったが、この日はタコも休業日だったのか、しばらく攻めても誰にもアタリがこない。

だんだん気持ちがダレて来た頃、竿に突然ずっしりとした重みが!
魚と違ってタコが乗ってきたときは「クンクン」というような動きではなく、ぼろ雑巾が引っかかったような感じがすると聞いていたが、まさにそんな感じ。しかもこの重さは、さぞや大きなタコに違いない!

一気に目が覚めたが、もし間違いだったら恥ずかしいな・・・という考えが頭をよぎり、ただ黙って黙々と糸を巻く。

そして見えてきたのは・・・





はい、大きな仕掛けでした。
大騒ぎしなくて良かった・・・。ハハハ・・(ガッカリ)。
誰かが沈めたらしい仕掛けが、針に引っかかってついてきてしまったのだった。

中にはカニのお客さんがいた

タコ、いる!!

釣り上げた仕掛けは沈めなおし、気を取り直して釣りを再開。
釣りはじめの興奮も去り、ちょっとウトウトしていたら、離れた場所で何やら動きが!



これはまさか!


タコ!!
本日1杯目の貴重な獲物を、玉置さんが釣り上げていた。
なんだかいつも最初の1匹とか最初の1本などをGETしているような気がする玉置さん。さすがは「捕まえて、食べる」人、その実力恐るべし。

ご利益がありそうなので触らせてもらいました


そしてついに・・・

1杯目が上がったことで一時的に緊張感を取り戻した面々だったが、その後、待てど暮らせど2杯目がこない。 もう一度玉置さんにタコがかかったけれど、バレてしまった。 私の方にはうんともすんとも反応がない。竿に大きな刺激があるのは根がかりしたときだけ。

私はしょっちゅう根がかりしてしまい、自力で外せなくなってしまって何度も助けを求めてしまった。ペンさんは嫌な顔ひとつせず我々に釣らせてくれようと、道具もすべて貸してくださって 「もし自分に(タコが)かかったら、(釣る体験をさせてあげるために)代わるからね」と超優しかった。

しかし、そんなペンさんの優しさも虚しく、状況に変化のないまま刻々と時間が過ぎてゆく。メンバーの表情も曇りはじめた。夜明けから釣りはじめたのに、あたりはもうすっかり明るい。このままではにっちもさっちも行かないと、ペンさんから場所を変えてはどうかとアドバイス。 今までより少し足場が不安定だが、一度も攻めていない箇所なので希望がある。

今度は仕掛けを投げずに、岸に沿って少しずつ移動してみましょうとのペンさんの教え通り、ちょこちょこ、ちょこちょこ、と丁寧に誘いながら縁を探ってゆく。

5分ほど探っていると、また根がかり。
教えて貰ったように、右へ左へ奥へ手前へ、角度を変えて引っ張ってみるけれどサッパリ取れない。全力を出してひっぱっても取れなかったので、「何度もすみません・・」とペンさんにヘルプを依頼した。

竿を代わるなり、ペンさんが「これ、下にいるよ!」

え、何がですか?

「タコ!!」

タコ?!
覗き込むと黒っぽい影が見える。根がかりだと思ったのは、タコが底へ張り付いていたのだった!!

タコは一度張り付いてしまったら取れないというけれど、どんなテクニックを使ったのかペンさんは引きはがして海面まで持ってきてくれた。 そこへ宮の字さんがすかさず網を差し出す。私はうぉぉ!すごい!タコ!ねぇ、タコ!!と言いながら横で騒いでいた。

緊張の取り込み!

タコが安全圏(網)へ入ってから、持たせてもらった。
ずっしり重い。

「やりましたね!」とペンさんに言われて、ああ、私の誘いに乗ってきてくれたんだな、タコ。私の気持ちに応えてくれたんだもんな!と実感が湧いてきて、

「はい!」
と元気よく答えた。どんなに釣れなくてもこの瞬間があるからやめられないんだなぁ、釣り。

これはなかなかでかい


釣り上げたタコは大きく、小さな子供が襲われたらそれなりに危険なんじゃないかと思うほど。筋肉質な腕をビタンビタンとくねらせながら逃げようとする。 マダコも一応唾液腺に毒があるので、噛まれないように注意しながら吸盤の感触をじっくり味わった。
イカとは違って吸盤に歯がないので吸い付かれるとちょっと気持ちいい。 胴体をすぼめたり膨らませたりする様も、こちらから見るとお茶目に見える。(タコとしては必死だと思うが)

図鑑や水族館で眺めるのとは違う、活きているタコと触れ合う体験は本当に心躍るものだ。

タコと戯れて満面の笑みのわたし


結局この日の釣果は、最初の玉置さんの1杯と私の1杯、計2杯であった。(あの後のんさんが1度タコをかけたものの残念ながらバレてしまった)
厳しい状況の中、釣らせていただいて本当にありがとうございました!

でっかいマダコを調理する

タコを持ち帰ったら、お楽しみのお料理タイム。
我が家の一番大きな入れ物にぎっちぎちのタコにニヤケがとまらない。

こんな大きなタコ初めて!

一度には食べきれないからと、小分けにしてから気づいた。重さ計らなくちゃ。
小さな計りに乗せてみると、なんと1.6kgもある大物だ!
こんなに大きなタコが陸から釣れるのは珍しいことらしい。 今まで逃してきたタコの分だな、きっと。

ボウルの重さはあらかじめ引いてあります

1本の存在感がすごい

タコ足の刺身と吸盤の湯通し

スーパーで買うタコのお刺身はあらかじめ茹でてあることがほとんどだが、今回は正真正銘ナマの刺身にしてみた。 包丁でタコ足の皮を吸盤ごと薄くそぎ、中の白い部分だけを取り出して薄切りに。 皮と吸盤はさっと湯通し。

舌の上に広がる優しい甘味は生ならでは。
最高だ。釣り人の特権!

プリップチンッという吸盤の食感に身もだえ

タコ足焼いただけ

これはペンさんに以前教わった食べ方。
ぶつ切りにしたタコを何も調味せずに魚焼きグリルに突っ込むだけ。 ただそれだけ、塩さえかけていないのに、これだけで完成された味なのだ。タコの味と香りが凝縮され、ずっと噛んでいたい。

色も鮮やかだ

タコ足とアボカドのサラダ

ほうじ茶がなかったので麦茶で軽めに茹でたタコ足をぶつ切りにして、アボカドとプチトマトと和えた。
味付けは忘れた・・。確かレモン汁とオイルと塩。 鉄板ですね、アボカドとタコ。

タコ足とズッキーニ炒め

茹でたタコぶつとズッキーニ、ニンニクを醤油ベースで炒めたもの。 焦がし醤油の香ばしさが加わって食欲をそそる。大きな吸盤をいくつも独り占めできる喜び。

タコ焼

「わたし、タコ焼き得意よ!」というのんさんを自宅に招き、タコ焼きにしてもらった。
自ら得意と宣言するだけのことはある、まんまるのタコ焼き!味は言わずもがな。
贅沢に大きなタコが入ったタコ焼きを作ってみたのだが、タコはある程度小さい方がタコ焼きとしては旨いという学びがあった。

たこ焼き器が欲しくなる

タコピザ ーきのこトマトソースと大葉ー

こちらは人様のお宅にて。
宮の字さん特製きのこトマトソースを玉置さんのピザ生地に乗せて。偶然だけれどみんなタコ釣り行ったメンバーだ。きのこのうま味とタコのうまみ、こりゃ反則。大葉の香りともちもちのピザ生地で顔がほころびました。

ピザ焼き器も欲しくなる

タコの胴と卵のさっと茹で、肝と墨添え

みんなが「タコの頭」といいがちなところ、実は内臓が詰まった胴である。
タコの胴は皮と身の間にトゥルップルルッとした独特の食感ゾーンがあり、タコ刺しを買ってこのゾーンが入っていると得した気分でつい大事に最後までとっておいてしまう。

そんなトゥルプルゾーンと卵をたっぷり湯がいてお刺身に。
肝と墨は日本酒、塩、バターで炒めて練って酒のアテにした。

部位によって食感が違って飽きない

肝は刺身につけて食べてもデリシャス


大きなマダコを釣って食べたい、という一つの夢が叶った。
改めまして、ペンさんありがとうございました。

次は自分で最初から最後まで釣るのが目標かな。
イイダコ、水ダコにもチャレンジしたい。