下記のエントリの続編です。
テナガエビ釣りのポイントを自分で探したい
初めてのテナガエビ釣りが想像以上に楽しくて、夏の楽しみとして続けていこうと決意。
もう次の釣行へ繰り出したくて仕方がない。 Kさんに教えていただいたポイントでまた釣っても良いのだが、釣り人ならば自分だけの秘密のポイントを一つくらい持っていたいもの。 自分の家の付近でもどうにか釣れるポイントがないだろうか。
多摩川を散歩し、テナガエビが釣れそうなポイントがないか探してみることにした。
仕事前の時間を利用して多摩川へGO。自分の背丈より高い草木の中を分け入って、朝露やら花粉やらアブラムシにまみれて歩いてゆく。 探検みたいで楽しくてつい寄り道ばかりしてしまう。おかげで近所のオニグルミスポット、桑の実スポット、カキドオシスポットを把握することができた。
そして本命のテナガエビがいそうないい感じのテトラ帯も発見。 釣り人の姿が全く見えないのが気になるが、Twitterの大先輩方からもなかなか良さそうに見えるとのコメントを得て高まる期待。これはイケるのでは。 しかし、偏光グラスで覗いてみてもエビの姿は確認できなかった。夜行性だというからもう寝ちゃったかしら。
「テナガエビは夜にライトで照らすと目が光るからすぐ分かるよ」という助言を頂き、会社帰りにヘッドライトを点けて同じ場所へ行ってみた。やはり釣りをしている人はいない。 これには2つの可能性がある。
・釣れるけれどまだ知られていない ・釣れない
さて、どっちだ。 新調したてのヘッドライトで胸をときめかせながらテトラを照らしてみる。こんなに胸が高鳴るのはいつぶりだろう。 もしかして、いきなり穴場スポット発見しゃうのか・・?
ま、そう上手くはいかないよね。15分ほど粘ってみたけれど光る眼には出会えなかった。 帰り道、うっかりヘッドライトを外し忘れてすれ違う人の冷たい視線を浴び、少し冷静さを取り戻したが、やはり竿を出してみないと納得できない。よし、釣竿をもってまた来よう。
テナガエビ釣りの仕掛けを自分で作る
行くと決めたからには、仕掛けを準備しなくては。 先日の釣行で必要なものはKさんに教えてもらったので、メモを持って釣具屋へ行った。
しかし買いたいものの名前はわかるのに、どこに何があるんだかサッパリわからない。 見慣れたスーパーでの買い物とは勝手が違う。 さのくに氏に食材の買い物頼むといつも嫌がられるんだけど、もしかしてこういう気持ちだったのかしら。
迷いながらも親切な店員さんに助けられ、欲しいものを手に入れることができた。
酒をチビチビやりながら、先日教わった仕掛けの作り方を一つずつ復習だ。
まず、これがテナガエビ釣りに使うのべ竿。 リールを取り付けるところも糸を通すガイドもない、シンプルな竿である。 足元を狙うのに取り回しが良い短めの竿と、多くの範囲を攻められる長めの竿の両方があると好ましいとのこと。 竿の先がヒモ状にになっている(リリアンというそうだ)ので、糸を結ぶためのこぶを作る。 ただのかた結びだけど。
こぶを作ったら道糸を用意する。 道糸というのは竿先からおもりまでの部分の糸のこと。 ナイロン糸の定番だよと教えて貰った「銀鱗」の0.8号を買ってきた。 糸の先をちょいと結んでリリアンのこぶに接続するのだが、文章で説明できないので「ちちわ結び」で検索してください。 糸をリリアンにつけたら、だいたい竿と同じくらいの長さか少し短いくらいの糸を出して切る。
今度はウキを取り付ける。 ウキゴムという黒いゴムを道糸に通す。これだけだとスルスル動いてしまうが心配はいらない。 ここに足がついた玉ウキを差し込むとバッチリ固定されるのだ。 ウキは取り外し可能なので、現場で位置調整も可能。
続いてハリス止めを道糸の先につける。 ハリスというのはこの先に取り付ける、針につながっている糸のこと。 なんでわざわざ道糸とハリスって二種類も糸が出てくるのか素人には謎だったのだが、それぞれ用途によって材質を変えて、より有利に釣りができるようにという先人の工夫らしい。
そしてこのハリス止めは、ハリスが切れても結び直し不要で素早く交換できるようにしてくれる便利ツールなのだ。 「ハリス止め 結び方」でググりながら細い糸を結んでいく。近眼なので辛い。
ハリス止めを取り付けたら、そのすぐ上にガン玉というおもりをくっつける。 丸っこいおもりに深い溝が入っていて、そこへ道糸を通した状態で左右からペンチなどでグッと潰すだけ。 色んな重さあるけど今回は2Bを使った。本当は現場の状態で調整した方がよいようだが、今回は練習なのでもう付けちゃう。
ここまで来たらもうできたも同然! 後はハリスとハリがセットになっているのが売っているので、5-8cmくらいに切ってハリス止めにつけるだけ。 ここの写真はどこかへ行ってしまった。 出来た仕掛けは適当な板にぐるぐる巻いて、そのまま釣り場へ持っていくのだ。
餌の赤虫もしっかり準備。冷蔵庫の野菜室で眠っていてもらう。 潰れると血のような真っ赤な体液を出してちょっと気持ち悪い。こまめに水を取り替えて温度に気を付ければ1か月ほど生きていてくれるんだって。
さてこれで準備は整った! テナガエビ、釣れちゃったらどうしよう。いや、釣れてくれ。 楽しみで寝付けないなんていつ振りだろうか。さすがにもう大人だから過度な期待はしていないけれど、胸の鼓動は抑えられない。
ポイント開拓はそんなに甘くなかった
釣れるかどうかわからない場所なのでまずは一人行くつもりだったのだが、ちょうど付近で行われる多摩川のゴミ拾いイベントに365日野草生活さんが来るということで、一緒に釣ってみることに。 ビギナーズラックで何かと釣ったり捕まえたりしがちなさのくに氏もお守りに連れてくことにした。
目星をつけておいた例の場所に早朝集合。 下見の時とは違い、何人か釣り人がいた。しかし竿の長さからして明らかにテナガエビ狙いではなさそうだ。 ちょうど日陰のスペースが空いていたのでここを拠点に釣り始めてみる。
この日は気持ちの良い晴天で、静かな水面に映る空がまるで絵画のようだった。
思ったよりちょっと水深が深いな。 潮が満ちすぎているタイミングで来てしまったようだ。 餌を落とす場所を色々と変えてみるが、外道すらかからない。
あーでもないこーでもないとポイントを変えて攻めてみるものの、エビの気配は皆無。 そうこうしているうちに時間が来てしまい、1時間半ほどのポイント開拓は失敗に終わった。 さのくに氏にとっては初めてのテナガエビ釣りだったから、何かしら釣らせてあげたかったけれど現実はそんなに甘くなかった。実は途中からちょっと飽きちゃって、おしゃべりばかりしていたのは秘密。
詳しく調べてみると、テナガエビがいるのは基本的に河口から遡って一つも堰がないエリアまでらしい。彼らの生態をきちんと知っていれば予測できることであった。 テナガエビは幼生時代を海(または汽水域)で過ごし、稚エビになったら歩いて川を上ってくる生き物。 堰には魚道が設けられているところもあるけれど、エビが登るには険しすぎる道だ。 今回開拓しようとしたスポットは堰より上流だったので難しかったのかもしれない。(淡水湖沼に適応した型もいるらしいが)
とはいえ、まだ諦めたわけではない。 ゴミ拾いついでに堰より下流のスポットもしっかり見つけてきたのだよ。 また時間を見つけて釣りに来てみよう。
自分で企画して分かち合うよろこび
このまま不完全燃焼なので、今度は教えてもらったポイントでリベンジを決行。 ポイント開拓失敗時のメンバーに加えて、「多摩川を愛でる会通信」の古畑さんを迎えての釣行だ。
多摩川を愛でる会通信とは、古畑さんが代表を務めるムラハタワークス主催の多摩川を愛でる会プロジェクトの活動の一環として発行されている、多摩川のいろんな楽しみ方を提案するWEBメディアである。 多摩川好きは要チェック!格好いいオリジナルグッズも販売しているよ。古畑さんの多摩川オタク度は軽く聞いた感じでもかなりヤバイ(褒めています)。
多摩川でできることを色々と試していらっしゃるとのことで、多摩川で毎日草を摘んで食べている365日野草生活さんとの多摩川つながりで今回の参加となった。 古畑さんは釣りの経験はあるけれどテナガエビを釣るのは初めてとのことなので、私がレクチャー役をやることに。 まだ3回目の素人が先生で申し訳ないけれど、仕掛けの作り方を一から説明。
Kさんがしてくれたように、ゆっくりひとつずつ教えたつもりだったけれどどうだろう。 この日は最高気温が30度近くまで上がった夏日で、長袖長ズボンに帽子をかぶったフル装備の私は暑さと自分の手元に注目が集まる緊張も相まって汗だく。 作っている仕掛けの上に汗がぼたぼた垂れてくる。さぞ気持ち悪かっただろと思う・・(ごめんなさい)。
我々3人が手際悪く仕掛けを作っている間に、さのくに氏は一人で目視テナガエビ探し。 そう、さのくに氏は仕掛けの作り方には一切興味がないのだ。楽して釣れればよかろうの人である。 そして早くもテナガエビを発見していた。マイペースボーイ、目ざとい。 急いで餌をつけて入れるものの、残念ながら逃げられてしまった。 しかし目視でエビを発見した功績は大きい。エビが見えるだけでやる気が変わってくるのよ。
30分ほどかけて支度を整え、本格的に釣り開始。 今までとは違い、ちゃんと釣れるはずの場所で、しかも自分が企画したということもあり、釣れなかったらどうしようというプレッシャーが強い。
まだ釣ったことのない2人に釣ってほしい。あと365日野草生活さんにも早めに釣ってほしい。 (この日、365日野草生活さんは非常にハードスケジュールでわずかな時間しかいられなかったのだ。) 全然釣れなくてガッカリさせちゃったら悲しいな。
という私の心配をよそに、一番に釣れたのはなんと多摩川を愛でる会通信さん! 喜びの表情を見て、ホッと胸を撫でおろす。初めてのエビ釣りは楽しい思い出にして欲しい。
釣った後の針外しフォローは365日野草生活さんがしてくれていた。 繊細な口を傷つけないように、ピンセットで外す。
私も負けていられないと岩の隙間に餌を突っ込むと、まもなくHit! これでテナガエビ経験者のメンツは保てたかな。
残るはさのくに氏と365日野草生活さん。 このあとがなかなか続かない。 あっちの岩陰が良さそうだとか、餌はこまめに取り換えろだのとさのくに氏の世話を焼いてみるが一向に釣れず。
本人は特に気にしていないようだが、私は何とか釣らせたい気持ちでいっぱい。 今までどちらかというとさのくに氏の趣味に付き合うことが多く、それで自分の世界が広がってとても楽しかったので、今度は私から何か楽しいことを教えてあげたい。 決して、さのくに氏が一緒だと車が出せるので行動範囲が広がるとかそういう打算的なアレではない。
まぁそんな思いはまったく伝わっていないであろうマイペースボーイは自分なりのやり方で地道にトライを繰り返し、エビをget! さのくに氏は家から外に出ると感情表現が無になるのでよくわからなかったが、後から聞くとそれなりに嬉しかったらしい。
その後、コツをつかんださのくに氏と多摩川を愛でる会通信さんは何匹かテナガエビを釣り上げていた。 もう一人でできるね!
しかし残念ながらここで365日野草生活さんはタイムアップ。 この後ハーブの講習会に行って、更にお友達と会うと言っていた。タフな人だなぁ。また一緒に釣ろうね。
私はというと、早アワセしてしまい食っているのにバラす、という一番悔しい感じを繰り返していた。体の大きなオスの姿がたくさん見えるだけに、結構悔しい。 エビの姿を発見するとついつい慌てて竿を出してしまうが、 歩いているエビの前に餌を落としても朝の新宿でのティッシュ配りよろしく「あ、今ちょっと急いでるんで」と無視されてしまう。 歩いて行った先に必ずどこか隠れ家に入ってゆくので、落ち着いたところを見極めて餌を落とすのがポイント。(さのくに氏談) いつの間にかさのくに氏の方がきちんとエビと駆け引きして釣れるようになっていた。見事だ・・・もうワシがおぬしに教えることは何もない・・・(仕掛け作ったの私だけど)
時間的にはまだ余裕があったが、暑さが険しくなりエビの動きも悪くなってきたので釣りを終了。 爆釣、とは言えなかったが一人複数匹釣る体験ができて良かった。
まだエビ釣り3回目のド素人ながら、今まで私に釣りやアウトドアを教えてくれた方々の気持ちが少しだけわかったような気がする。釣らせてあげたい、あの楽しさを体感して欲しい、もちろん自分も楽しみたい。 下準備の苦労やプレッシャーもほんの欠片だけだが味わって、改めて先輩方には足を向けて眠れないなと思ったのだった。
今回釣ったテナガエビは翌日家に来た友人に生きてる状態から見せびらかし、その場で調理して食べさせるというただの自慢をして振舞った。 彼女もエビ釣り興味があると言っていたので、引きずり込んじゃおうかな。 おしまい。